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WebRTC対応のWeb会議について知っておくべき5つのことWeb会議入門
Webブラウザを介して高速なデータ通信を実現するオープン規格が、WebRTCです。Web会議でのWebRTC対応について解説していきます。
Webブラウザ上にプロトコルを埋め込むだけで、様々な方法によってリアルタイムコミュニケーションを実現できる点がWebRTCの最大の魅力です。まずは、WebRTCとは何かを解説していきます。
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1. WebRTCとは
1-1. 他の通信手段と何が違うか
映像や音声のデータをリアルタイムでやり取りする規格は以前から存在しており、IP電話として知られる「Skype」などで使われています。最近では「LINE」のビデオ通話も同様の規格といえます。
ではWebRTCは何が違うのかといえば、オープン規格であるという点です。SkypeもLINEもクローズド規格なので、開発企業が独占することになります。WebRTCは、WindowsやMac、iOS、Androidなどがサポートすることを発表しているため、多くのソフトウェアで採用されています。
これまでは「Chrome」や「Firefox」など、対応するWebブラウザは限定されていました。アプリケーションに直接組み込むことも可能でスマートフォンでもWebRTCを組み込んだアプリがたくさん登場しています。
1-2. WebRTCが生まれた背景
2013年ごろからメディアでも取り上げられるようになったWebRTCとは、Web Real-Time Communicationの略のことです。World Wide Web Consortium(W3C)が提唱するリアルタイムコミュニケーション用のAPIの定義であり、これを活用することによって、プラグインなしでWebブラウザ間のボイスチャットやビデオチャット、ファイル共有、遠隔操作などができます。
WebRTCインターネットが普及したのは、HTMLやHTTP、TCP/IPなどといったプロトコルを利用し、ソフトウェアやハードウェアを自由に開発できるようになったことが後押しとなったことは広く知られているところです。
そして、マルチメディアを活用する機会が増えた現在、リアルタイムコミュニケーションの次世代アプリケーション開発現場にも同様の事象が起きています。コミュニケーション機能のAPI化によって、アプリケーション開発が容易に行える環境が整ってきました。
こうした開発環境の変化に伴い、標準フリーパッケージとして提案されたのが「WebRTC」です。Webブラウザだけで世界中の人たちと自由にコミュニケーションです。この未来像への期待感が、現在のWebRTCへの注目度の高さとなって現れていると言えます。
1-3. WebRTCが持つ機能
WebRTCは動画・音声を伴うリアルタイム通信のオープン規格です。WebRTCの画期的な点のひとつは、リアルタイム通信技術を誰にでも使いやすく提供することにあります。これまでリアルタイム技術は技術的な参入障壁が非常に高い領域でした。WebRTCが登場したことで、リソースに乏しいベンチャー企業にでも、こうした技術を使用する門戸が開かれると言えます。
WebRTCはオープンな標準規格として規定されている技術であり、使用するにあたって、ライセンス費用の支払いなどは必要ありません。WebRTCは高度に抽象化されており、以下の様な技術的特長を備えています。
- 音声/映像のコーデック(データ形式)
- 異なるプライベートネットワークに属するコンピュータ同士を直接接続する仕組み
- 暗号化やトラフィックの流量を制御するためのネットワーク・プロトコル
- 上記の処理を可能とするAPI(Application Programming Interface)
「通信」という分野において、誰にでも使いやすい機能を提供するWebRTCは、従来不可能とされていた多くのビジネスアイデアを実現可能なものにする、革新的なテクノロジーであるといえます。
2. Web会議での利用シーン
2-1. 画質・音質など様々な機能で進化が求められているWeb会議
企業にとって経費削減と業務効率化の妨げになっているものの一つとして会議が挙げられます。特に全国、海外にも拠点を持つ企業にとっては交通費などの経費や移動に時間を取られることによる機会損失はとても大きなものとなります。営業社員同士のミーティングも全員の帰社を待って行うのでは意思決定のスピードにも遅れを生じてしまいます。
交通費や移動時間の削減によって業務効率化を達成するWeb会議ですが、問題は実際の会議と遜色なく使えるかどうかです。画質が悪く資料などが読めない、音質が悪く相手の声が聞き取れない、操作が複雑で使いづらい上に画像が頻繁に途切れたり雑音が入るというのではかえって効率が悪くなってしまいます。
2-2. WebRTCがWeb会議システムの使い勝手を飛躍的に向上させる
以前のWeb会議はテレビ会議に比べ低コストで利用できるものの品質の問題で導入に二の足を踏んでいる企業も少なくありませんでした。参加人数が多い会議では遠くの声が聞こえ辛かったり、大画面のモニターで映すと文字がぼやけてしまうということがあったからです。結果としてテレビ会議と現状の会議との二択の中でコストの問題から現状維持となってしまうことが多かったのです。
WebRTCがWeb会議の品質の高さや簡便性を実現しているといえます。WebRTCはプラグインのインストールや認証、ヘッドセットを用意する必要もなく、URLにアクセスするだけで利用ができます。またデータがサーバを介さないため通信が軽く映像や音声が安定していて遅延がほとんどないのも利点の一つです。
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3. ワークスタイルの変化にも対応するWebRTC
3-1. Web 会議のスタンダードになりつつあるWebRTC
WebRTC自体は2012年辺りから出始めた技術ですが、WebRTC対応のWeb会議サービスの登場は2015年からです。その品質の高さや簡便性から今後WebRTC対応はWeb会議システムのスタンダードとなりつつあります。
WebRTCの仕様策定は、W3C(World Wide Web Consortium)という標準化団体が中心となって行っています。W3Cは、Webに関する様々な技術的仕様の標準化を進めている国際的な組織です。
3-2. ツールの進化とワークスタイルの変革
時代によってワークスタイルは常に変わり続けます。しかしこれに形だけ合わせても業務効率化は実現しません。ワークスタイルを変えるためにはそれに合わせツールも変化させていく必要があります。
現代において意思決定の遅れは企業に大きな損失を生み出します。営業社員の帰りを待ってミーティングを行いそれから結論を出すのでは遅すぎます。逆にいえば意思決定のスピードを速めることが同業他社にとって大きな武器となり、効果を発揮します。
3-3. 場所を選ばないというアドバンテージ
WebRTCはiOS、AndroidといったOSやキャリアを選ばないので使用しているデバイスをそのまま使えるからです。Web会議を使うために新たに社員の端末を入れ替えるといった必要がなく、経費削減にも大きく貢献します。最近、多くの企業で見かけるようになった在宅勤務社員との間でのミーティングでもOSに依存しないWebRTCは最適です。
W3Cには、Google、Apple、Microsoft、Mozilla(Firefoxブラウザの開発元)といったウェブブラウザベンダーが加入しており、各ブラウザは標準仕様に基づいたWebRTCの実装を搭載しています。Google ChromeとMozilla Firefoxなど、異なるウェブブラウザ間でもWebRTCで通信できるのはそのためです。
4. WebRTCを利用したWeb会議のメリット
4-1. Web会議利用での音声遅延の問題から開放される
WebRTC自体は2012年辺りから出始めた技術ですが、WebRTC対応のWeb会議サービスの登場は2015年からです。その品質の高さや簡便性から今後WebRTC対応はWeb会議システムのスタンダードとなりつつあります。
従来のWeb会議で、音声遅延は切っても切れない関係がありました。通信プロトコルによる問題があり、 パケットロス(通信データが欠損してしまうこと)が発生すると、データを取り戻そうとする仕組みが働きました。
その結果として音声の遅延が発生していました。WebRTCでは多少のパケットロスを許容していますので、影響を受けず遅延の少ないWeb会議を行うことができます。
4-2. プラグイン不要のWeb会議
Web会議が世の中に出始めたころは、Windowsアプリケーションを利用するものが主流でした。その後、InternetExploreやGoogleChromeといったブラウザ上で利用できるWeb会議 が続々と登場しました。
しかし、ブラウザ上で作動するWeb会議であっても、外部プラグインが必要な場合が多くセキュリティの観点から採用できない企業も少なからず存在しました。WebRTCはプラグイン不要で映像・音声の通信を実現するため、アプリケーションや外部プラグインをインストールできない場合でもWeb会議を使用することができます。
4-3. 現段階で最高レベルの音質を持つコーデックを採用
WebRTCで採用されているコーデックはOpusです。Opusは低ビットレートでも、優れた音質を実現することができます。 96kbpsのOpusで再生されたファイルとオリジナルを聞き比べてみた結果、違いがほとんどありませんでした。Web会議では映像以上に音声の品質が重要です。映像がなくても会議はできますが、音声なしでの会議はありえません。
5. これからのWebRTC
5-1. 顧客と企業をつなげる技術の進化
従来専用アプリが必要とされていたビデオ通話/ビデオ会議と言った製品カテゴリにおいて、WebRTCの採用が広く進みつつあります。例えば、AmazonのMaydayは、24時間365日、1クリックでビデオ通話によるカスタマーサポートを受けられるという革新的なサービスです(同社のFireタブレット必要)。これはWebRTCによるリアルタイム通信が支えています。
楽天のネット保険デスクというサービスでは、ビデオ通話を用いてアドバイザーと相談しながら、生命保険を申し込めます。同サービスはChromeとFirefox、そしてスマートフォン(Android)からも利用できますが、これはWebRTCの機能あってです。
5-2. さらに広がる利用シーン
そしてライセンスフリーであること、さらに標準的な実装がオープン規格で公開されていることにより、WebRTCは「ウェブ以外」にも広がっています。
例えばiOSやAndroidと言ったモバイルOS上でも直接WebRTCは動作します。そのため、モバイルアプリ同士、そしてモバイルアプリとデスクトップWebブラウザなど、デバイス/プラットフォームを選ばずにWebRTCは動作します。例えばGoogleハングアウトは、iOS/Android/各種デスクトップブラウザと言ったさまざまなプラットフォームをまたいで、複数人が参加できるビデオ会議を実施できます。
例えば、家庭用カメラ「Withings Home」は、利便性とデザイン性を備えて話題になりましたが、内部にWebRTCを使用しています。Webブラウザ同士を直接(P2Pで)つなぐための技術として考案されたWebRTCは、今やロボティクスやIoTといった分野でも活用されうる、汎用的な技術として注目されています。
5-3. IoTなど幅広い分野での利用可能性
現状は、人とのコミュニケーションへの利用、例えば、カーナビゲーションやエレベーター、ATM、KIOSK端末、あるいは対話型ロボットなどにWebRTCのテクノロジーを生かすことで、より使いやすく、より便利な高付加価値の製品を生み出している段階です。近い将来には、IoT分野での利用も現実味を帯びています。
SNSやメッセージアプリは、ネットワークを介して人と人をつないでいます。IoTやロボティクス、ウェアラブルの時代となり、小型化/多様化の進んだデバイス同士も、ネットワークを通じて自律的に通信する時代が到来しています。
こうした時代に、ライセンスフリーで採用の障壁が低く、プラットフォームをまたいで動作し、さらには潜在的な開発者人口が莫大(世界中のWeb技術者が対象となる)なWebRTCは、世界を静かに、大きく変えていく原動力となる技術なのは間違いありません。引き続き、WebRTCの動向には注視が必要です。
6. WebRTC対応の会議室を作りたい
6-1. ビデオ会議等の受託開発や Video SDK としての利用をご検討の方へ
「WebRTC対応のビデオ通話システムを作りたい」
「独自のビデオチャットシステムを作りたい」
このようなビジュアルコミュニケーションシステムを従来の約10分の1の開発コストで実現できるのがSOBAフレームワーク・クラウドです。低コストで開発できる実際のサンプルコードもご用意していますので、実際に動かしてみることも可能です。受託開発に関してはSOBAフレームワーク・クラウドのサイトもぜひご覧ください。
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